テーマ 144 部下とのコミュニケーションは、
ちょっとした細やかさが重要
■部下の話の聴き上手になる
D・カーネギー氏著の「人を動かす」の中に下記のような一節があります。
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人に嫌われたり、陰で笑われたり、軽蔑されたりしたかったら、
次の条件を守るに限る。
・相手の話を、決して長くは聞かない。
・終始自分のことだけをしゃべる。
・相手が話している間に、何か意見があれば、すぐに相手の話をさえぎる。
・相手はこちらよりも頭の回転が鈍い。そんな人間の下らないおしゃべりを
いつまでも聞いている必要はない。話の途中で遠慮なく口をはさむ。
世間には、この条件を厳守している人が実在するのを
読者は知っているはずだ。
私も、不幸にして知っている。
有名人のうちにも、そういう人がいるのだから驚く。
そういう人間は、まったく退屈でやりきれない相手だ。
自我に陶酔し、自分だけが偉いと思い込んでいる連中だ。
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「部下の方の話は、自分が経験したことも多く、
分かっていることが多いため、聴かなくても分かる。」
「分かり切った部下の話を聴くのは、時間の無駄。」
と思っている管理職者の方もいらっしゃると思います。
部下の方の話は、話を聴いているのではなく、
部下の気持ちを聴くと思うことが必要です。
「どのような気持ちでこの仕事に取り組んでいるのか。」
「言いたいことの真意はなんなのか。」
部下の方も、多分上司も知っているだろうということは分かっています。
それでもあえて話すのはそれなりの理由があるからです。
■コミュニケーションは、自分の力量が試される
坂本龍馬が自分の師である勝海舟のお膳立てで
西郷隆盛と初めて対面したときに、
西郷を評して語った言葉に下記のような有名な言葉があります。
「少しく叩けば少しく響き、大きく叩けば大きく響く。
大馬鹿にあらざれば大智者なり」
坂本龍馬の言葉は、自分の打ち方によって、
「相手はそれ相応の反応しかしない」
ということを言っています。
相手の力を引き出すのは、自分の力量の問題ということになります。
また、相手の力量に応じた対応をすることも重要とも言えます。
■部下が話す8、自分が話す2の割合
部下の方とコミュニケーションをとる時は
部下の方を主役にすることが重要です。
例えば、部下に方をほめる時も
「△△に関する提案企画書は、非常に良い内容ですね」
よりも
「○○さんが作成した、△△に関する提案企画書は、
ポイントが的確で非常に良い内容ですね」
と話して上げた方が、部下の方は、自分はほめられた、
認められたという実感を大きく持ちます。
注意するときは、逆に本人自身を注意するのでは、
起きた事象を指摘します。
「○○さんが作成した、△△に関する提案企画書に誤字脱字がありました」
とは言わずに
「△△に関する提案企画書に誤字脱字がありました」
と言います。
ちょっとした細かいことですが、人とのコミュニケーションは、
このちょっとした細やかさが重要となります。
部下の方とコミュニケーションをとる時は、
下記のようなことが基本となります。
1.否定的な言葉は使わず、部下の考えたことに対して興味を持って話を聴き、
理解する姿勢を示す。
2.よりよいものができないか、
部下と一緒に考えるという姿勢で質問や意見を言う。
3.納得したところは、感心、共感して相槌を打つ。
一般的に人とのコミュニケーションは、話すと聴くとの割合は、
2対8の割合がよいと言われます。
部下の方とコミュニケーションをとる時もこのことを意識し、
上司の一方的な話にならないように注意することが重要です。
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